活用事例

高知大学

国立大学法人 高知大学では、学内の教育研究活動に学認クラウドゲートウェイサービスを役立てています。導入の狙いと現在の利活用状況について、高知大学 教授 学術情報基盤図書館長 佐々 浩司氏、同 助教 石黒 克也氏、同 研究国際部次長 山中 敏正氏、同 学術情報課 専門員 田所 千峰子氏にお話を伺いました。(インタビュー実施:2020年11月16日)

まず、学術情報基盤図書館の概要について教えて下さい。

国立大学法人 高知大学
学術情報基盤図書館長
教育研究部 自然科学系 理工学部門
理工学部地球環境防災学科
教授 佐々 浩司氏

佐々氏:朝倉キャンパスの中央館、岡豊キャンパスの医学部分館、物部キャンパスの物理分館の3館で構成される当部門では、幅広い分野の図書や専門資料を集めているほか、学内情報基盤の管理・運用も担当しています。ITインフラ面でのトピックとしては、前回の基盤更新の際に、学内のほとんどのシステムをパブリッククラウドへ移行した点が挙げられます。BCP並びに管理体制の強化が主な目的でしたが、この時にLMSのMoodleもクラウドに移したおかげで、今回のコロナ禍においても円滑に授業を行うことができました。

山中氏:もう一つの特徴が、事務部門が利用する業務アプリケーションも当部門で統括して管理している点です。一般に大学の情報基盤センターでは、こうしたものに関わらないケースも多いかと思います。しかし、本学の規模で教育研究用、事務用で別々にシステムを導入・運用すると、どうしても無駄な部分が生じがちです。全学として最適な投資を行うためにも、このような方法を採っているのです。

学認クラウドゲートウェイサービスを導入された背景についても伺えますか。

国立大学法人 高知大学
学術情報基盤図書館
教育研究部 自然科学系 理学部門
助教 石黒 克也氏

石黒氏:そもそもの経緯としては、学認が提供するサービスを本学でも利用できるようにしたいというのがきっかけです。たとえば教育研究活動では、各種の電子ジャーナルを頻繁に利用します。しかし従来は、大学に来ないと閲覧できなかったため、学外からでもアクセスしたいという声が数多く寄せられていました。学認に加入すれば、こうした要望にも応えられます。

学認を使ってできること

佐々氏:個人的には、学認参加での電子ジャーナルに加えて、eduroamを使いたいという希望がありました。どこの大学へ出張してもeduroamのアクセスポイントは見えるのに、以前は使うことができず不便を感じていました。これが解消すれば非常に大きなメリットになりますから、石黒先生にも以前からお願いしていたのです。

eduroamでできること

石黒氏:ただし、一つ問題と感じた点もありました。それは、eduroamはともかく学認ではいろいろなサービスが提供されているため、不慣れな利用者にとって分かりにくいのではないかという点です。どういうサービスが用意されているのか、どうすれば使えるのかといったことが直感的に分かるようでないと、なかなか利用も拡がりません。その点、学認クラウドゲートウェイサービスがあれば、とりあえずポータルに入りさえすれば、自分が使えるサービスが一目で把握できます。

学認クラウドゲートウェイサービス

なるほど。ユーザーにとっての分かりやすさを重視されたわけですね。

国立大学法人 高知大学
研究国際部次長 兼 学術情報課長
山中 敏正氏

山中氏:加えて、IT投資の面でも、学認クラウドゲートウェイサービスを使うことには利点があります。電子ジャーナルの話にしても、本学が独自にVPNサービスを構築して学外からアクセスできるようにするという手もあります。しかし、そのために掛かるコストや時間、労力を考えると、とても見合うものではありません。それならNIIが提供するサービスを使わせてもらった方が、お互いにとってハッピーです。

学内での利用を開始するにあたって、こう活用してもらえるといいなという期待などはありましたか。

石黒氏:学認で提供されるサービスの中には、こちらから周知しづらいサービスもありますから、こうしたものの利用促進につながればと思いました。たとえば「NII FileSender」のようなサービスは、自分が利用する必要に迫られないとなかなかその存在を知る機会がありません。しかし、ポータル画面上に表示されていれば、すぐにこういうサービスが使えるのだなと分かります。

現在の利活用状況についても教えて下さい。

石黒氏:やはり、教員や学部生/院生が電子ジャーナルを読むためにアクセスするケースが多いですね。本学のポータル画面には19のリンクが表示されていますが、その多くが電子ジャーナルです。

高知大学で利用可能な学認サービス(2018年10月現在)

佐々氏:初期にはなかなか利用が拡がらない面もありましたが、コロナ禍に見舞われた4~5月以降は急激にアクセスが増えました。なにしろ、緊急事態宣言中は学生も教職員も大学へ来られない上に、情報基盤図書館も閉館です。とはいえ、こうした状況下でも電子ジャーナルを読みたいという要望が強かったので、学認クラウドゲートウェイサービスで読めることを案内すると同時に、利用できるコンテンツの数も急遽増やしました。この点に関しては、各部局長からも助かったという声が数多く寄せられています。今後もまだどうなるか先が見えませんが、学認のサービスが一つの力になってくれると感じました。

電子ジャーナル以外での利用はどうでしょう。

国立大学法人 高知大学
学術情報基盤図書館
研究国際部学術情報課
専門員(図書館担当) 兼 図書館サービス係長
田所 千峰子氏

田所氏:各種のデータベースに加えて、IT系メディアの記事検索サービスやオンライン辞書・辞典サイトやなども広く利用されています。後者は人文社会系の授業で使われるケースも多いようで、今年に入ってから特に利用が増えました。また、サービスプロバイダの中には、コロナ禍に伴って無償での提供に踏み切ってくれたところもありますので、そうしたものも月に一回程度リスト化して公表しています。

石黒氏:本学では、グループウェアの掲示板やeduroamの学内向け説明会など、様々な場面で学認クラウドゲートウェイサービスの紹介を行うようにしています。こうしたことも、利用促進につながっていると思われます。

最後に学認クラウドゲートウェイサービス、並びにNIIへの期待・要望についても伺えますか。

石黒氏:学認クラウドゲートウェイサービスに関しては、画面の作りや操作性などに特に不満はありません。ただ、細かな不具合出るケースもありますので、こうした点を改善してもらえればと思います。また、学認クラウド全体では、提供されるサービスの幅がもっと広がることを期待しています。

山中氏:匿名化した上でログを公開してもらえるといいですね。たとえば電子ジャーナルにしても、他大学の利用傾向を知ることで、何か新しいアイデアが生まれるかも知れません。DXの時代ですから、せっかく蓄積されたデータの2次利用が行えればと思います。

田所氏:情報基盤図書館には、この電子ジャーナルやデータベースを利用したいといった問い合わせがしばしば寄せられます。中にはまだ学認に対応していないものもありますので、拡充を図って頂けるとありがたいですね。

佐々氏:電子ジャーナルもそうですが、現在は様々な投資を各大学が個別で行っています。しかし、どの大学も経営が厳しくなる中、今後もこうした形で進めていくのは難しくなると思われます。すべての大学に共通するような分野については、NIIが一括でサービス提供してもらえるようになれば嬉しいですね。

ありがとうございました。

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